ごはん便り

身近に手に入る食材を使って、気軽に作れるおうちごはん

 白菜を味わう絶品鍋 ピェンロー(扁炉)

白菜を味わう絶品鍋 ピェンロー(扁炉)

冬に美味しくなる白菜が主役の絶品鍋、ピェンローの作り方はとっても簡単!なのに本当に美味しいんです。クタクタに煮込んだ白菜に干し椎茸と鶏肉・豚バラの旨味が染み込んでお箸が止まらない美味しさ。簡単に作れるので忙しい時のお助けメニューとしてもバッチリです。

ピェンローという鍋をご存知ですか?漢字で書くと「扁炉」。中国・広西省の田舎料理なのだそうです。

私が初めてこの料理を知ったのは、元号が平成に変わってすぐの頃。舞台美術家であり、エッセイスト・作家でもある妹尾河童さんが、とある雑誌で絶品鍋として紹介されていた記事を読んだことがきっかけです。妹尾さんは雑誌で紹介される30年以上前、この鍋料理を中国大陸に長く住んだ経験をお持ちの方から教わり、それ以来冬になるとずっと作り続けて来られたそうです。

使う基本食材は冬に美味しくなる白菜と旨味たっぷりの干し椎茸に鶏肉と豚肉。これを水で煮てごま油を垂らし、薬味(刻んだネギや七味)と塩でいただきます。何ともシンプルで素朴な鍋なのですが、旨味と風味が渾然一体となって、これが驚くほど美味しいのです。

ぜひ皆さんにもお試しいただきたい、我が家でも30年以上味わい続けている冬の定番です。

材料(2人分)

  • 白菜          500g〜700g
  • 干し椎茸(スライス)  5g〜10g(3個〜6個)
  • 鶏もも肉        1枚(250g〜300g)
  • 豚バラ肉        160g〜200g
  • 春雨(又はビーフン)  50g
  • 鶏ガラスープの素(粉末)小さじ1〜2
  • 酒           大さじ2(鶏肉の下味用大さじ1・鍋用大さじ1)
  • 水           700ml程度(具材を入れた状態で鍋の7〜8分目の量)
  • ごま油         大さじ1
  • 塩(粗塩)       適量
  • カットねぎ       適量
  • 七味          適量

作り方

  1. 白菜は3cm幅にカットして葉と茎に分けておく。
  2. 鶏もも肉と豚バラは食べ易い大きさにカットする。鶏肉に塩ひとつまみと酒大さじ1を振りかけ軽くもみ込んでおく。
  3. 干し椎茸はホールであれば水又はぬるま湯に浸けて戻してスライスしておく。(急ぐ場合はぬるま湯に砂糖ひとつまみ加えたものに漬ける)スライス干し椎茸であればドライのまま加えるのでそ戻さなくて良い。
  4. 鍋に白菜の茎と鶏もも肉を敷き詰め、干し椎茸のスライスしたものと豚バラ肉を散らし、白菜の葉の部分を乗せ、酒大さじ1・鶏がらスープの素・水を加え、蓋をして中火にかける。干し椎茸の戻し汁があれば一緒に加える。(白菜の葉の部分が鍋に乗り切らなければ乗る分だけ載せて加熱し、かさが減ってきたら全部載せて加熱する。)

  5. 沸騰してきたらアクを取り除き、白菜がくたっとしてきたら(シャキシャキよりくたっとしたほうが美味しい)春雨(又はビーフン)を加え柔らかくなるまで煮て、ごま油をひと回しして出来上がり。

ピェンローの頂き方

ピェンローの最大の特徴はその食べ方にあります。一般的に鍋といえば、「煮えた具材をポン酢やゴマだれなどを浸けながらいただく」事が多いと思いますが、このピェンロー鍋は「塩を溶かした鍋の汁に具材を浸して頂く」という、文字だけ読むと「???」となってしまいそうですね。でもこれが美味しいんです!

それではご説明しましょう!
  1. 鍋の取り皿用の深皿に薬味のカットねぎとお好みで七味を入れます。
  2. 深皿にピェンロー鍋の煮汁だけをおたま一杯程度加え、塩を加えて混ぜます。この時点で「スープとして飲むには濃い」と感じる位の塩分濃度にしておきます。

  3. 鍋の具材を②の深皿の汁に浸して頂きます。

  4. 深皿の汁の塩気が薄くなってきたら塩を足し、最後まで美味しく頂きます。辛いものがお好きであれば、途中で「タケバヤシ キムチベース むーひ」などで味変などするのもオススメです。
  5. 鍋の汁が残ったら、決して捨ててはいけません。白菜と干し椎茸、鶏と豚の旨味が溶け出た絶品スープです。迷わずおじや(雑炊)にしましょう!我が家では鍋だけで満腹になってしまった時は、翌日の朝ごはんをおじや(雑炊)にする事もあります。妹尾氏はおじや(雑炊)に合うお漬物として、べったら漬けをお勧めされていました。ほの甘い麹の風味がおじやによく合いますよ。

三大旨味成分という言葉をご存知ですか?旨味を感じる物質として知られているグルタミン酸・グアニル酸・イノシン酸の3種は三大旨味成分と呼ばれています。身近な食品にも豊富に含まれていて、昆布(グルタミン酸)や鰹節(グアニル酸)、玉ねぎ(グルタミン酸)などは料理を美味しくする食材として有名ですね。

このピェンロー鍋に使う白菜には「グルタミン酸」、干し椎茸には「グアニル酸」、鶏肉と豚肉には「グルタミン酸とイノシン酸」がたっぷり。この三種の旨味成分が一つに掛け合わされることで、「旨味の相乗効果」が起きて、それぞれの旨味成分単品で食べるよりも旨味成分が爆発的に増えて更に美味しくなるのだそうです。